鬱病の彼⑤

その他、色々

倒れた彼に驚く人はもういなかった。また倒れたんだねー、そんな感じだった。私はその場にいなかったが、あとから報告を受けた感じから察するに、そんな感じだったようだ。

休憩室に運び込み、うなだれている彼。

すぐに帰宅して病院へ行くよう伝えたが、立ち上がるとふらついてしまうようなので、しばらく安静にし、状態が落ち着いたら病院へ向かうように指示をした。

翌日は休みだったので、出勤の確認を取る必要はなかったが、翌々日は出勤の予定だったので、確認を取る必要があった。

上長に伺いをたてたところ、本人の意思を尊重とのこと。こんなときでも、会社は本人の意思を尊重する必要があるようだ。馬鹿げている。

そして、翌日連絡を取り、明日以降の出勤についてどうするか聞いてみたら、やっぱり出勤できますと彼から返事が帰ってくる。

普通、倒れるようなことがあったらしばらく休みたいと思うと思うし、病院へいって先生はどう言っていたの?と聞くと、出勤できないとは言われなかった、と言う。

もううんざりだったので、会社の『当人の意思を尊重する』という旨を伝えた上で、もしまた昨年のように何度も倒れるようなことがあれば休職をしてほしいと私の考えを言った。

わかりました、と言ってはいたものの分かってないんだろうなと思った。迷惑だ、と言いたいが不安定な彼にそれは言えない。

それがあったのがつい最近のこと。

そして、今も彼は働いている。

これからもずっと、会社が重い腰をあげない限り、働き続けるのだろう。

彼とは、彼が新卒の頃からの付き合いになる。かれこれもう十年以上になる。新卒の頃の覇気はもうなく、目はいつも虚ろだ。

同期の中ではかなり早く出世したほうで、2年目には主任に抜擢されていた。順調に出世街道を歩いていたように見えた。

だが、久しぶりに再会した時には変わり果てた姿になっていた。その頃の成功を忘れられないのかもしれない。自分の体調を差し置いても、仕事を続けたいと思う気持ちは、こういうところからもきているのかもしれない。

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