鬱病の彼④

その他、色々

彼に病院へいって医師に何度も倒れていることを伝えているのかと確認したところ、伝えているという返事が帰ってきた。

その上で、仕事を続けてもいいといわれているのか、と聞いてみたところ、してはいけないとは言われていない、と返す彼。

家族は仕事についてどう考えているの?と聞くと、特に仕事を休むとか、辞めるとか言われたことはないと言う。

そんなことあるのだろうか、と思った。職場で倒れるようなことがあったら、普通仕事を休んだり、辞めたりすることを本人には酷でも勧めるのではないだろうか。

彼は結婚しているわけでもなく、妻や子供がいて、仕事を辞めたら生活に困窮してしまうわけでもない。

私は、彼が嘘をついている可能性があると会社に伝えた。正しく病状を医師に伝えていない可能性があると。医師は彼からしかその病状を聞いていない。その情報をもとに診断しているのだから、それが信用できるものであるはずがない。

だが、会社から帰ってきた答えは、それが事実であっても、結局は本人の意思を尊重する他ないと言われた。

ここからは想像だが、鬱が業務起因によるものの場合、早々解雇は出来ないのではないかと思う。会社が原因を作った以上、会社が責任を持たなければならない。そう言う理屈だ。

だから、出勤停止させた場合、それは会社都合の休職となり、その分の賃金を支払わなければならない。

彼はそう言う主張をするようなタイプではなさそうだが、一定のルールのもとに会社が動いている以上、特例はつくれないのだろう。

あくまで、個人の意思を尊重する。

そういえば、日本はそんな国だった。

依存になるようなお酒をのもうが、たばこを吸おうが誰にも止める権利はない。

異常なくらいの酒をのんで、それが明らかに体を壊す量だったとしても、止める術はない。それどころか、それで体を壊したとしても、医療費の半分以上を国が負担という太っ腹具合だ。

そして、なにも変わらないまま、私自身ももはや触らぬ神に祟りなしとも言わんばかりに、彼を放置した。定期的な面談で、休職を勧めるくらいはしたが、彼の頑なな態度は変わらなかった。彼がそう言う以上、私としてはもうやれることはない。

相変わらず彼を一人としてみる会社の態度は変わりないが、もう慣れた。いないものとして仕事を組み立てる、そうする他ない。

こうしてかれこれ一年が経った。

彼はまだ、職場にいる。相変わらず欠勤早退を繰り返している。意外にもその間、倒れることはなかった。仕事の内容に変わりはないと思っていたが、社員からパートになったことで、軽くなるものもあったらしい。

だが、薬の数は増えてしまっているようだ。少し前にも一つカプセルが追加になったと聞いた。眠れないんだそうだ。

彼に言うことはないが、もう寛解することは難しいのではないかと思った。誰も、出勤を強制していない、誰もが休めと言っている中、出勤することに意味があるかのように振る舞う彼は、働くことが出来なくなるほど鬱が悪化しなければ、自身の状態を理解することはできないのだろう。

誰もが、あなたはお酒をのまない方がいいよ、と言ってくれていたのにも関わらず、忠告を無視し、毎晩のように酒に溺れていた、私のように。

そんなことを思っていた矢先のこと。

また彼が倒れた。

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